第4話

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「茉里は寝て」 「寝る?」 手を繋いだり、髪を撫でたりしながらコーヒーを飲み終えた彼の言葉を、私はすぐに聞き返した。 「ん、ここ」 ポンポンと自分の膝を叩く彼に 「膝枕…するんじゃないの?」 いつもは反対だから驚いた。 「今日は休憩だろ?それに寝ていてくれないと、電話中にキスしたくなる」 「…っ…」 ドスッ…ン…… キスが嫌っていうんじゃないの。でも恥ずかしいこと言うんだもん…彼の太ももに顔を伏せてドキドキを隠す。 「天使級の可愛さだな、茉里。楽に寝ないと窒息するぞ」 大きな手で私の背中を撫でる桐斗さんは、スマホに手を伸ばすとすでに私が教えたパパの番号に電話をした。私が悪いと…ならないだろうか… 心配する私とは違い、いつも通りの桐斗さんは学園の名前と自分の名前、それから私の副担任であることをスラスラと伝えると 「事情があり茉里さんは今、私の家にいます。事情はご説明するよりも見て頂いた方が早いので一旦電話を切ってデータを送ります。失礼します」 サッと通話を終えてしまった。 「これを見て、誰に電話があるか…俺か茉里かアノ姉か。それだけで親の感情が多少は分かる」 「すごい…私は分からない…」 「信じたい人の言葉で説明を聞きたいっていうのが人間の心理だと思う」 なるほど…さすが桐斗さんだ。 そうは思ったけれど、そう理解すると電話を待っている間…緊張する。電話…なかったらどうしよ……
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