第4話

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パパはこのまま先生と話をしたいからと言いつつ、ママへ今すぐ私への送金をするようにお願いしてから “先生とパパが話すけど、大切な話だから茉里も一緒に聞ける?” 聞ける?と聞きつつ…聞きなさい、という口調だった。 桐斗さんは私のスマホをスピーカーにして置くと 「灰原です。茉里さんも聞いています。ただ、彼女が身を守るために一人で悩んで行動したことは責めないようにお願いします。それと、今日、非常にショッキングなやり取りをして、悲惨な現場をナマで目撃した茉里さんが大きなショックを受けていることは先にお伝えします」 と、丁寧だけど攻撃的とも受け取れる先手を取った。大丈夫かな…と思った私の手は大きな手で包み込まれ、少し落ち着いた。 パパは桐斗さんの説明を十分に理解した上で “茉里の生活を第一に考えたい” と言う。 「茉里さんへ一番に電話されたことでお気持ちは分かります」 “灰原先生に助けていただいたことも理解していますが、茉里と一緒に暮らすのは、失礼ながら問題があるのでは?” 「いろんな意味合いが含まれていることは承知していますが、全て問題ありません」 はっきりと言い切る桐斗さんを見ると、彼は私の頬をそっと撫でた。 「まず、これは私なりに覚悟を持った保護です。生徒のためにと言いながら、もちろんどの生徒にも同じようには出来ない。茉里さんに好意があることは否定しませんが、生徒に手を出すこともしません」 キスは…手を出すことにならない?そう思った私の唇を彼の親指がなぞる。
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