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第5話
「茉里、ここで見る」
「うん、私も見る」
ブーツを買いたい希海ちゃんと一緒に、私も靴を見る。ここ“GuU”は靴だけじゃなく洋服もたくさんあるから見たかった店だ。
可愛い…と、ボリュームソールのローファーを手にする。黒ではなくオフホワイト、厚底過ぎないボリュームソール…重くもない、いいね。
履いてみようと思って、今履いているハイカットスニーカーを脱ごうとして
“ボリュームソールの靴って…子供っぽいのかな?”
と動きが止まる。
「履いてみなよ、茉里」
「ぁ…うん…ねぇ、希海ちゃん」
「なぁにぃ?」
希海ちゃんはレースアップのショートブーツを360°見ながら返事する。
「このローファーって、例えば…大学生になっても履けると思う?」
「普通に履くでしょ?」
「じゃあ…例えば…23歳だったら?」
ここで希海ちゃんが奇妙なモノを見る目で私を見た。
「どうしたの?ずっと履ける物を買えって親に言われた?」
「そうじゃないけど…」
「だよね。お姉ちゃんに頼まれた?」
「ううん…頼まれない」
「だよね。急に何?」
「…通学に使わないから……いつまで似合うかなって…ちょっと考えた」
「そっか。でも靴を選ぶ第一ポイントは履き心地だよ。それと可愛いのは絶対」
「そうだね」
その通りだけど、私は桐斗さんよりあまりにも子ども過ぎるんじゃないかと…買い物の間、ずっと考えていた。
だって…昨日みたいに、チュッというキスじゃないのは大人でしょ?
少し並んで、今日が発売初日だったフラペチーノを買う時も、周りの大人カップルが気になっちゃう…そして私はただの高校生だ…とどんどん気分が落ちた。
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