第1話

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私は事情を話した… 父のドバイ赴任に伴い母も同行。 両親はハタチの姉と16歳の私(どちらも来月21歳と17歳の誕生日)に、赴任前の1ヶ月家事を仕込んだ。 仕込んだと言っても、家には最新の家電が揃えてあり、キットになった食材宅配も手配済み。 だから好きな物だけ買い足して、気ままに楽しくやっていけるはずだった。 「それが…それなのに…」 悲しい気持ちと、ムカつく気持ちと、怖さとが思い出され、同時にこんなプライベートなことを話すのはどうかと躊躇ってしまう。 「どうした?」 長い指で顎を掬われ、私を見下ろす先生と目が合うと…私はとても疲れているのか、先生がぼやけて見えた。 「泣くほどの何があった?」 泣いてる?私は泣いてるの? 「恵茉(えま)が…」 「恵茉?」 「……お姉ちゃん」 「それがどうした?」 「………」 「追い出されたのか?」 そんな感じだからと頷いたけど 「ちゃんと説明」 先生は納得しなかった。 「退学したくなけりゃ、さっさと全部説明しろ」 「…は…ぃ……あの…恵茉が毎日パーティー…みたいにして…」
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