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「…茉里ちゃ〜んって抱きつく人とか……キスしようと…する人とか…恵茉たちもなんか…誰と誰が付き合ってるのかとか分からないイチャつきで…ヤバいなって思って…怖いし…」
ここまで言うと先生が私を膝の上に引き上げた。
「ヒャ…ッ…」
「自分で家を出たってことか…」
膝から降りようとする私の背中をポンポンとしながら、先生が納得したように言う。
「はい…お金は両親に言えば何とでもなりそうなんですけど…恵茉のことをどう言うかも悩んで…ママが結構、向こうで苦戦してるって聞いたのに…心配掛けちゃうし…でも悩んでいる間も怖いのはイヤだから…出なくちゃって…住み込みバイトを探して」
もうすっかり話したので止まらない。
「お金の入金はしてくれるけど…親に引っ越しっていうのは言えないって考えたら…とりあえず自分でやってみようって…恵茉は心配だけど」
「それは大人のしていることで、大人が考えればいいこと。奥田は、茉里は自分の身を守れているだけで上出来」
「バイト…怒られてない?」
「正解だと褒めてる」
「じゃあ…学校は…?」
ありがとう、先生…と言いそうになったけど、確認しないと。
「でも校則は校則。俺個人では褒めても、学園側の身としては見逃せない」
「先生っ」
私は先生の左右の腕をギュッと掴んで
「絶対ダメですか?必要なバイトなんですっ」
とお願いする。必死過ぎて顔同士の距離が近いことにも気づけずに
「例外とか特例とか…お願いします」
さらにお願いした。
「そんなに言うなら…ここに住んでバイトするか?」
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