究極の選択

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 ふっと笑いが漏れた。  あきらめと、まさか悪い冗談だろう?と信じられないような気持ちが半々。  バランスを崩して、体が投げ出されるまで、ほんの数秒。  なのにやけに長く感じる。  死ぬまでの数秒で人は自分の一生を振り返り、いろいろなことを考えるという。  それは、今までの経験を必死で思い出して現状回避可能な手立てを探すため、と誰かが言っていた。  でも、役に立ちそうなことは何一つ思い出せない。  僕の体は、僕の思いとは裏腹に、ホームの外へと投げ出されるのだ。
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