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「まだ、終わりではありませんよ」
さっきの声だ。
知っている、この声。
まだ、終わりではありませんよ。
授業は終わっていません。
「……田村先生」
人生は一冊の本のようなものです。
西日が入り始めた教室で、六時間目の授業が終わろうとしていた。
「あなたの物語はあなたが主人公です」
教室中がそわそわしていた。
早く帰りたい、部活部活部活、今日寄り道しちゃおうかな、あと1分足らずで鳴るはずの終わりのチャイムを心待ちにして、気の早い者は机の中のものをカバンに移し始めていたりする、そんな中、先生は言った。
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