私はアレクシナ・タルコット

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私はアレクシナ・タルコット

「ここは?」 私は確か車を運転していて。横から車が突っ込んできて、それから? 目を覚ますと、そこは病室でも家でもなく、レースがふんだんに使われたベッド? 何ここ? まさか病院の個室でもこんな部屋ないわよね。 がばっと起き上がった私は、自分が着ているレースの袖、首元の大きなリボン、肩にかかる艶やかな黒髪に驚いた。 「アレクシナ様、お目覚めですか? 早く支度をなさらないと遅刻されますよ」 「え? アレ…クシナ? アレクシナ!?」 ベッドから飛び起きた私をメイドが目を真ん丸にしてみている。 「アレクシナ様? 大丈夫ですか?」 「私、アレクシナ?」 「そうですわ」 手を掴まんばかりの私にのけ反るメイド。 「アレクシナ・タルコット?」 「そ、そうです、けど」 気でもふれたんじゃないかって顔だ。だけど、もうひとう確認しないといけないことがある。 「あの……私の婚約……」 「はい?」 「婚約者、って」 「ああ、はい、クロード・キャンバリー王子さまです」 ああ、やっぱり。 私はがくりと膝をついて座り込んでしまった。 「ええ?! アレクシナ様?」 メイドが大慌てで誰かを呼びにドアから出ていった。 だけど、今の私には何よりも大変なことがある。 「私、婚約破棄される……」
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