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ヒロインの異変2
「カレン様……」
「はい!」
キリリとした顔つきでこちらを見つめてくる。
「あのぉ、王子とのことはいいんですか?」
「え?」
「だって好きなんでしょう?」
予想外のことを言われたのかカレンは目をしばしば。
「好きなのはあなたでしょう? 婚約者さまなんだもの」
「あー…それはそうなんですけど。カレン様と王子が両思いなら」
「そんな! 駄目です! 公序良俗違反です!」
「は、はい?」
「だいたい、王子の身で市民のお手本になるべき人がすることではありません!」
憤慨したように鼻の穴を膨らませ興奮状態だけど、かわいいヒロインとしてはいかがなものかと。
だが、ヒロイン、カレンは興奮したまま、
「そうでしょう?」
「は、はあ」
「婚約者のあなたと結婚されて、この国を担っていかなければならないのです! そうでしょう?」
「は、はあ、まあ」
「あなたも国にとってどう有益に動くべきか考えて勉強なさってると思います。この国のため、国民のために日々努力をなさってるのではないですか?」
「は、はあ、まあ、そう……かな?」
まるで、あなたが王子では? それとも宰相ですか? 的なカレンは、
「小さなときから婚約が決まっていたと聞きました。なのに、そんなお相手を無視して他の女性に走るなんて」
とこぶしを作った手に力を入れる。
「私、私」
俯いたカレンが肩をワナワナと震わせる。顔まで真っ赤なんですけど。
「あの、とにかく落ち着いて。座ってくださいな」
私はカレンの肩に手を置くと、中庭のガゼボに移動して座らせた。
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