3人が本棚に入れています
本棚に追加
私はアレクシナ・タルコット
「ここは?」
私は確か車を運転していて。横から車が突っ込んできて、それから?
目を覚ますと、そこは病室でも家でもなく、レースがふんだんに使われたベッド? 何ここ? まさか病院の個室でもこんな部屋ないわよね。
がばっと起き上がった私は、自分が着ているレースの袖、首元の大きなリボン、肩にかかる艶やかな黒髪に驚いた。
「アレクシナ様、お目覚めですか? 早く支度をなさらないと遅刻されますよ」
「え? アレ…クシナ? アレクシナ!?」
ベッドから飛び起きた私をメイドが目を真ん丸にしてみている。
「アレクシナ様? 大丈夫ですか?」
「私、アレクシナ?」
「そうですわ」
手を掴まんばかりの私にのけ反るメイド。
「アレクシナ・タルコット?」
「そ、そうです、けど」
気でもふれたんじゃないかって顔だ。だけど、もうひとう確認しないといけないことがある。
「あの……私の婚約……」
「はい?」
「婚約者、って」
「ああ、はい、クロード・キャンバリー王子さまです」
ああ、やっぱり。
私はがくりと膝をついて座り込んでしまった。
「ええ?! アレクシナ様?」
メイドが大慌てで誰かを呼びにドアから出ていった。
だけど、今の私には何よりも大変なことがある。
「私、婚約破棄される……」
最初のコメントを投稿しよう!