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こだわり。
「綿貫と田中が買った分、まだ開封していなくない?」
「……あ」
「そういや忘れてた」
途端に綿貫が自分のリュックへ飛び付いた。慌てて食玩の箱を取り出す。
「もしかしたら、この中にユウユウソードが入っているかもしれないのか」
生唾を飲み込むのが見ていてもわかる。開けるぞ、と低い声が届いた。ゆっくりと、切り込み線に沿って厚紙を破る。と思いきや、手を離して一息ついた。こっちはずっこけそうになる。
「まあまさか入っていないよな」
「いいから早く開けなよ」
橋本に促され、いくぞ、と再び開封の儀を再開した。ペリペリと引き離され、やがて全て開く。そっ、と逆さまにした箱から出てきた物は。
ピンク色の組み立てパーツ。そして。
「……ユウユウソードだ……!」
「当たってたんかい!!」
「じゃあこの勝負は一体何だったんだよ!!」
橋本と揃ってツッコミを入れる。しかし歓喜に輝いた綿貫の表情は俺を見るや否や再び緊張に満ちた。おい、と震える声を掛けられる。
「田中。お前が買った分、今此処で開けてくれないか」
「急にどうした」
「揃うかも知れない」
「何が」
「二体目」
「……え?」
「ダブりパーツを集めて二体目のゴイガーンができるかも知れない。足りなかった右腕とユウユウソードがダブった今、お前が左足を当てれば揃うんだよ! ゴイガーンがもう一体!」
「マジか」
「……開けて、くれ」
「……わかった」
ゆっくりと鞄へ近寄り、箱を取り出す。生唾を飲み込み、開けるぞ、と二人を見遣った。綿貫は目を見開き頷いた。早くしなよ、と橋本は素っ気ない。
さっきの綿貫よろしく、慎重に、少しずつ、切り取り線に沿って箱を開けていく。しかし真ん中まで来たところで手を離した。
「緊張がやばい」
「わかるぞ田中」
アホくさ、と橋本は腕組みをした。構わず開封を再開する。ちょっとずつ、ペリペリと剥がした末に、箱の蓋が開けられた。そっと傾け中身を取り出す。
現れたパーツを綿貫に渡すと。
「……揃った」
「……ってことは」
「あぁ。左足だ」
うおおおお!! と拳を振り上げながら立ち上がる。両腕でガッツポーズを作った綿貫が抱き付いてきた。
「やった! やったぞ! 二体目のゴイガーンだ!」
「全く知らんがゴイガーンかける二、おめでとう綿貫!」
「ありがとう! 橋本と田中が三百円を貸してくれたおかげだ!」
しばし歓喜に浸った後。
「じゃあ橋本、右腕をくれ」
「さっきまでの頑なさはどこへいったんだよ!」
「勝利者ごっこをしたら満足した。あとマジで二体目が揃って興奮している。早く寄越せ」
せびる綿貫の額に、橋本が投げた右腕とユウユウソードが命中した。
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