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出来ること
※
立ち上がり歩いていく長身の後ろ姿が最早頼もしい。
いいヤツだな
一真がいるおかげで衣食住には困らないし
金銭的な面をどうにかして、家賃をしはらえばいてもいいよな
「はい」
「ありがとう」
パスタを口に運ぶ。オーソドックスなたらこ風味がなかなか美味しい。野菜や具材はあまりないが、値段的に仕方ないだろう。一真はサンドイッチをつまんでいる。
「けっこう旨い。それは?」
「ん~、普通。今日はコーヒー飲んでばっかだから、水も飲んどこう。ほら」
「うん・・俺、バイトした方がいいよな?」
しなくてもいいって言わないだろうか
この時代で自分が使い物になるのか不安だし
水をもらいながら探りをいれてみる。
「社会復帰は早い方がいいんじゃない?」
目が笑ってない様な…
「そうだけど、、この後張り紙見に行ってもいい?あと求人情報誌」
「いやいやいや、それよりスマホ」
「それもスマホ?」
「そ」
さっきより笑顔が輝いた。器用にスマホを操ると、画面を見せていく。
「これはどう?」
「ショップスタッフ?接客はちょっと」
「これは?」
「コールセンターは、、電話はあんまり」
「配達は」
「車には乗ってたけど、後部座席で」
「えー、、そんなに選り好みするとないよ」
「わ、わかってるけど、、それはそうなんだけど」
「じゃあ、一日バイトからかな。半日とかもあるみたい」
自分が出来ることが無さすぎる
楽しくなさそうだ。過去は体が思うようにならないきつさがあったが、今は今で訳もわからず辛い。せっかく選んでくれている彼にも申し訳なくは流石に思う。
「どうしよう…一真、呆れただろ」
「全然。さっきの「鳴ってる」の方がややいらっときた」
「え?ごめん。無意識だ、それ」
「そっからじゃない?でも」
「でも?」
くすりと笑う。
「学の事、嫌いじゃない」
え、何だこれ
心臓が急にうるさくなった。
End
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