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銀行で
※
永い眠りから目が覚めた。別に永い眠りと言ってもヴァンパイアになったわけじゃない。所謂『コールドスリープ』というものから目覚めたというだけだ。だが、問題は色々ある。
「有瀬川様の親類にあたる方々で資産を使い果たされてしまった様です」
「は?困ります。それじゃ、俺はこれからどう…」
銀行員が渋々と口を開く。いかにも迷惑そうだ。老人で混雑している窓口係は、誰も余裕がなさそうだ。あの皆が見つめている箱形の機械は何だろう。ゲーム機かなにかだろうか。
「幸い、病気は現代の治療で寛解されたとの事ですし、一から人生を楽しまれてはいかがでしょうか?その際にこの積み立てを」
商売の話か
こんな時に
いらつく
「結構です!」
追いかけてくる声はない。大方面倒な客が帰った事にほっと胸を撫で下ろしているのだろう。
「あ~!!」
銀行を出て叫ぶと、周囲が白い目を向けてきた。
こんなことなら死んでた方が楽だった
1999年に22才の若さで難病を発症した俺、有瀬川家の跡取りとしてコールドスリープの後、2024年の現代に健康な心身で再生した。しかし、まさか有瀬川家が財産を使い果たして離散してようとは、夢にも思わなかった。まさに悪夢だ。
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