4人が本棚に入れています
本棚に追加
ななの月
※
「俺がそう。文系だから、その原理はわからない」
ひとしきり驚いたが、以前みたSF映画にあった内容だから全くなくはない話だ。
時計の秒針の音が響いて聞こえてくる。自分が暇潰しに助けた人間が過去から来た人間だとは。見た目は普通だ。細いがガリガリではないし、一重の猫顔も普通。
「嘘じゃない」
「えっと、体の細胞は平気なの?」
「痛って!」
「ごめん。あー、痛覚はあるし平気なのかな?」
つねられて学はむすっとしている。
「な、何だよ。俺はお前と変わりない人間だ」
「何年からこっちに来たの?」
「1999年」
「えっ…でも中途半端。映画だと200年後とかさ、そういうんじゃないの?」
「うるさいな。それぐらいで俺の病気が治るって思われたんだろ?」
理由は彼にもわからない様子だ。しかしあの時代の人間なのか。
「あ、ノストラダムスどうなった?ななの月」
「あぁ、何もなかったらしいよ」
「えーっ!?」
今度は学が驚く番だった。
最初のコメントを投稿しよう!