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 唇をくっつけたまま耀くんが僕を見た。至近距離で見つめ合う。  まつ毛の1本1本まで見えるこんな近さで耀くんを見られるのは僕だけ。 「……お風呂、沸かしとけばよかった……」 「ふふ、いいよ全然。一緒にシャワーしよっか、ね?」  もう一回、ちゅって音を立ててキスをした耀くんが、僕をふわっと抱き上げた。 「碧、なんか軽くなった気がする。ちゃんと食べてた?」 「え……あ、……うん」 「その返事、食べてないな?」  め、って叱られて首をすくめながら、でも耀くんがいるのが嬉しくてその首に腕を回してしがみついた。 「あ、とりあえず上着だけハンガーにかけとくか。どうせクリーニング出すけど」  お風呂場に向かいかけた耀くんが、耀くんの部屋の方に進路を変えた。  あっっ!!  しまった、シーツ……っっ  しかも耀くんの部屋のドアはきちんと閉まってなくて、明かりも点いてる。 「碧、俺の部屋で待ってた?」 「……うん……。だって……」 「淋しかった?」  うん、って頷いたら、ちゅってキスしてくれた。そして耀くんが僕を抱いたままドアを開ける。部屋の中を見て何て思われるか恥ずかしくて、僕は耀くんにぎゅうっと抱きついた。 「……碧はさぁ、もうほんとに、ほんっとに可愛いよね」  ふふふって笑いながら、耀くんがまた僕にキスをする。 「ね、『ただいま』ってさ、相手が自分を待っててくれてるって思うからこそ、はっきり言える言葉だよね」  ゆっくりと僕を下ろしながら、耀くんが柔らかい、でも力強い声で言った。 「……さっき耀くん、おっきい声で言ってた……」  足が床に着いても、僕は耀くんの首に手をかけたままぶら下がるように抱きついてる。 「うん。だって碧はこんなに俺のこと待っててくれてるからね」  耀くんが両腕でぎゅっと僕を抱きしめてくれて幸せ。 「うん、待ってた。ずーっと耀くんのこと考えて本も読めなくて、お腹も空かないくらい耀くんのこと待ってたよ?」  おっきな手が、背中を、頭を撫でてくれる。 「そっか……。じゃあ碧が軽くなっちゃったの、俺のせいだね」  耀くんが、ちゅっと頭にキスしてくれた。 「そうだよ。だからまた明日から一緒にご飯食べてね」 「もちろんだよ、碧。碧と食べるご飯が一番美味しからね」 「披露宴のディナーより?」  広い胸の中から大好きな恋人を見上げて訊く。 「そう、碧がいなきゃ立派な食事だって味気ないよ?」  当然って顔をして言った耀くんが、僕の額にちゅってキスしてくれた。  しあわせ 「……おかえり、僕の耀くん」  じっと見上げて言ったら、耀くんは眩しいほどの笑みを浮かべた。 「ただいま。俺の大事な碧」  ふふふって笑い合って抱きしめ合った。 「碧に『ただいま』って言えるの、めちゃくちゃ幸せな気分だよ」  耀くんが僕をぎゅうぎゅう抱きしめるから、僕も耀くんを抱きしめ返す。 「ね、碧。明日バイト入れてなかったよね?」  耳元で囁かれてドキッとした。 「うん、お休みにしてる……」  だって……  耀くんが、ちゅって耳たぶに口付けた。 「……じゃあ、朝まで……ね?」  掠れた呟きごと唇を重ねる。口角を舐められてぞくぞくした。 「…ね、ようくん……っ」  キスの角度を変える僅かな間に呼びかける。 「ん?」  僕をしっかり抱きしめてる耀くんの下唇をちゅって吸って、上目に見つめた。 「……寝て起きたら……、また抱いて……?」 「……やば……」    いつも爽やかな耀くんの目が、ギラリと欲の色に光る。  これはほんとに、僕だけの耀くん。 「大好きだよ、碧……」 「うん、うん僕も……、耀くんだいすき……っ」  無事に僕のところに帰ってきてくれてありがとう 『ただいま』と『おかえり』を積み重ねて  いつまでもいつまでもずっと  貴方と一緒に暮らしていきたい  了
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