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修司さんは今日から長期出張。
だけどこの家から出発していない。
昨日の夜は、恋人の家に泊まっていたのだろう。
私には夫を止める権利も、別れてくれと言う権利もない。
たとえ法律が妻である私の味方でも……。
私は寝室のクローゼットを開け、宝箱に新たな『貴方の欠片』を仕舞った。
修司さんが古くなったから捨ててと言ったTシャツにハンカチ。
1度洗いアイロンをかけ、丁寧にたたみ宝箱に仕舞う。
修司さんに触れられる事はない私にとって、それは大切な物。
修司さんが本当に捨てたいのは、これらの物ではなく『私』……。
だけど……春樹がいるから捨てる事すら出来ないのかもしれない。
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