貴方の欠片

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「それなら、たまには春樹と遊んであげて」  私に背を向けた夫にそうお願いした。  だけど……。 「春樹は寝ているし、僕も今日は疲れたから今度な」  近くで眠っている春樹をみて、そう言った夫は自室に入っていった。  私が夫に抱かれたのは『あの時』だけ。  寝室すら結婚してから別々だ。 「まま?」  いつの間にか起きた春樹がトコトコとやって来た。  私はしゃがんで春樹を抱っこしようと手を伸ばす。  抱き上げた春樹は『いいこいいこ』するように私の頭を撫でてきた。  私はそんなに……悲しそうな顔をしていたのだろうか……。  「ごめんね春樹」  春樹を授かったのは嬉しいけど……そのかわり……あれだけ欲しかったパパの愛は手に入らない……。  ごめんね……。  ママのせい。  お姉ちゃんの言うとおり、不毛な結婚生活は春樹のためにもならない。
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