叡智の集結

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「上司出すか?ん?ほら、もう無理?上司に変わりたい??もうギブ?もうギブアップ?ほら、もう上司出して逃げたい〜〜〜??」 クソが。 誰が上司なんか出すかよ。 「…いえ、担当はわたくしですので、わたくしがこのままお話させていただきます。何度も申し上げてしまい恐縮ですが、お客様のご申告の内容は今回の事故とは関係ないものが混じっているため、全額はお支払いできません。」 受話器を握る手が震える。電話相手の男は私をいたぶることが楽しくて堪らないと言った様子で、ケタケタと笑った。 「はい、お前みたいな馬鹿の意見なんか求めてませーーん。お前がいくら電話したって意味ねぇーんだよ!!てか学歴は?女だからどうせテキトーな短大とかしか出てないんだろ?しかもどーせ文学部でしょ?こーゆー頭使うお仕事向いてないんじゃない??あ、てかそもそも高卒?」 少なくとも、保険金支払の事故窓口センターの女性社員をカスハラして楽しんでるお前よりかは頭使う仕事むいてるわ、ぶっ殺すぞ。 「……、」 「おーい、おねーさーん??耳きこえてないんですか〜〜〜???それとも怖くて何もいえませんか〜〜〜???だったらさっさと『ごめんなさい、私が全部悪かったです♡どうか全額お支払いさせてください♡色もぜひつけさせてください♡』て言おうね〜〜〜!」 電話相手の男に煽り散らかされて、私はネイルした爪をカチカチ言わせながら、淡々と口を開いた。 「対応を上司に相談してまたお電話します。」 「はいそれ、何分後?5分?こっちもおねーさんみたいに暇じゃないからさぁ、早くしてほしいんだよねぇ〜〜〜。じゃあ5分後かけてね、」 ガチャンッ!と電話をガチャ切りされて、私はその瞬間に上司に相談するため立ち上がっていた。 ここは素敵な素敵な、保険金支払の事故窓口センター。カスハラは日常茶飯。未熟者な私は、慣れて受け流すということが未だに出来ない。
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