叡智の集結

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「松井さんの担当してるお客様がね、松井さんに『話の通じない馬鹿は存在が迷惑、不正な保険金支払渋りをした上に、僕の時間を無駄に使った松井さんに慰謝料を請求したい、取りあえずさっさと上司出せ』って言ったのよ。」 「え!うわぁ、松井さん大丈夫…?」 私が声を掛けると、松井さんはスンスンと泣くばかりで、口がきけなくなっていた。こういう時こそ男性上司、本田課長の出番だ!て思うんだけど、このくそオヂはもちろん回避した。 「いきなり僕がでると、ほら、さらに上出せって言われた時、困るでしょ?だからまずは坂下さん対応して!」 ってオヂがいけしゃあしゃあと言ってきて、まじ殺意。さらに上出せって言われないようにするのがお前の役目だろ。 優しくて責任感の強い坂下さんは、もちろん代わりに対応したけど、相手が強すぎて結局自宅訪問することになった。しかも、坂下さん1人で。本田課長は「僕が出ると、さらに上出せって言われた時に」理論で今回も逃げ切った。ありえなくない?このジジイ。 **** 「戻りました…。」 そうして、自宅訪問当日。 訪問から戻ってきた坂下さんは目を真っ赤にしていた。泣いてる…? 「坂下さん、大丈夫ですか?」 私がトイレで声を掛けると、坂下さんは目頭にハンカチを当てながら、フルフルと首を振った。 「ちょっと…今回の人、セクハラと暴言が酷くて…。普段は電話だから耐えられるけど、直接言われると、さすがに怖くなっちゃった。払えないものが混じってるって何度説明しても、理解してもらえなくて…。」 こう言って、無理矢理笑う坂下さん。これは酷い。さすがに酷い。全部本田課長が悪い。 「本田課長に巻き取ってもらいましょう!!そんなやつ、女性じゃ相手しきれないですって!!」 **** 「え〜〜〜、僕だって無理だよぉ〜〜。」 相談したら、本田課長はヘラヘラ笑いながら言った。笑うなよ、お前それだけの給料もらってるだろ。本田課長は坂下さんを上から下までなめ回すように見た。 「まあ、昇進したいなら、こういうのも慣れていかないと!それにセクハラされるってことはまだ女として見てもらえてるってことだし!プラスに考えようよ!」 誰がこのジジイを屠殺してくれ。
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