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「あたしは『プリティア四聖』が一人、『プリティア朱雀』! さあ、そこの悪の魔法使い、観念して、あたしの焔で丸焦げになっちゃいなさい!」
は? この少女、最初は“不審者”と言っていなかったか? 数秒と経たずにそれが“悪の魔法使い”とは!? どういう思考をしたらそうなる?!
だが、話が通じない相手ではなかろう。ここは穏便に話し合いで解決するとしよう。
「すまんが、我は“不審者”でも“悪の魔法使い”でもない。だから、そう怖い顔をするでない。可愛らしい顔が台無しだぞ?」
まずはフレンドリーに話し掛け、警戒心を解く。
「は? 何言ってんのよ? 見窄らしい恰好した奴が“悪の魔法使い”じゃなかったら、何だって言うの?」
「そりゃ、只の通りすがり、とか?」
「はい、却下。いい? 見窄らしい恰好した奴は全員が悪の魔法使いなの!! だがら、正義のヒロインであるあたしはアナタのような悪の魔法使いを退治しないといけないの!」
ダメだ……この娘。まるで話が噛み合わん。
そして、冒頭に戻る。
我はプリティア朱雀──言い辛いから、以後は朱雀だけでいいだろう──の追撃を躱し、逃げる、逃げる!
「しつこい娘だ。まるでストーカーだな……」
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