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「娘扱いなんて、一度も言った覚えないけど」
「え?」
紫乃さんは至極当然という顔をして続けた。
「楓にとって父とか兄だっただけで、俺にとって楓は一貫して俺の楓だよ。愛しているし、当然恋愛関係になるのはありだよ、今からでも」
「わ、わーお……」
率直かつ大胆な言葉に、図らずも顔が熱くなる。
「もちろん楓が大人になるまでは、庇護対象として見るだけの感覚も、令和の常識として持ち合わせてはいるよ。でも俺的には楓がどんな姿でも変わるものはないよ。例えば」
紫乃さんは当たり前のように私の手を取る。
「今すぐ異性として触れて欲しいならそっちに切り替えるよ。今、楓は十八だろう? 現代でも十分に許されるし、俺も歓迎だけど」
「い、いきなりなんか……発言と接触の湿度が上がったんですけど」
「湿度なんてどうとでもなるよ、俺は人間じゃないんだから。肉欲に振り回されるタイプの愛じゃないし」
「に、肉欲!」
「神だから繁殖本能もないしなあ」
「夜さんの言い方がうつってますよ!」
「はは、でもそういうこと」
紫乃さんは笑って、私の目をじっと覗き込んでくる。
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