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「学校行事は全部出ていたし、おむつだって替えてたんじゃないかねえ」
「完全にお父さんじゃないですか。待ってください……じゃあやっぱり記憶を失う前の私も、お父さんとして懐いていたってことですか?」
「さあねえ。聞いたことはないねえ。でも仲良しだったよ」
「まあ深く考えなくてもいいんじゃないかい? 紫乃様と楓ちゃんはずーっと仲良しだったから、まあこれからもそうなるんじゃない?」
参考になるような、ならないような言葉で纏められた。
結局元の自分の情報はあまり得られないまま、私は羽犬さんが働くカウンターの中へと戻る。
私を慰めてくれるつもりなのか、食材、主にフルーツがわらわらと私に寄ってきた。
「ありがとう、うきはの宝石たち。……うーん、羽犬さんはどう思います?」
「楓ちゃんと紫乃の関係? ばり仲良かったよ」
「皆さんそう言いますよね。でもそれって父親として? 別の感じ?」
「んー、俺からしちゃ正直今とあんまり変わらんかなあ。まあなんでもいいとやない?」
「そう言われると気にしすぎのような気もしてきました」
赤ちゃんの泣き声がしたので、後ろをちらりと見る。
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