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掘りごたつのほうでカワウソ─河童のママ友会が行われているらしく、そこの赤ちゃんの泣き声だった。人間と同じようにミルクを口にしているカワウソの赤ちゃんは可愛い。
羽犬さんがそれを見て、目を細めた。
「楓ちゃんの気持ちは置いとってさ。紫乃は本当に好いとるとよ、楓ちゃんのこと。俺に食事作りを頼んだのもそれだし。霊力を使えば人間相手の完全栄養食なんて作れるのにな、楓には土地の食材を食べさせてやりたいってな」
「……そうなんだ……」
「家具も地元なじみの家具屋に手配してもらって、霊力の安定に繋がる木材や産地にこだわったものを取りそろえていたし、楓ちゃんの霊力を強くするため、いろんなあやかしや神霊と縁が繫がるように意識していたし、本当に大切に育てていたよ。だから別に、ゆりかごから墓場まで連れ添おうがいいじゃん? あやかしや神なんてそんなもんだって」
「なんだか……地産地消の光源氏って感じですね?」
「だはは。若紫側がありなら、よかとやない?」
「でも光源氏は授業参観出てなかっただろうし……」
「ひー、笑いすぎて腹いてぇ」
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