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0002話カブトムシ
「1」
ーー「????」ーー
あの人誰だろう?
姿を見てると八木楓さんに似てるけど……。
ーーエイエン、エイエン。
え?何を言ってるのだろう?
ーーエイエンニクルノヨ。
エイエンとは、なに?
ーースデニキタ。
少女「え!?」と、勢いよく身体を起こして目を覚ました私、中医莉亞。
莉亞「エイエンとは何かしら?」
私自身その問いかけるがそれを応える者はいない。
しかし、不思議に思うことがある。
この世界はまるで時が止まってるかのように感じる。
その時私はスマホで今日は西暦何年か何月何日何時何分何秒何曜日何ちゃらなのか確かめる。
莉亞「……2028年8月8日8時8分8秒火曜日サル年、世界猫の日、たこ焼きの日か……」
8は偶然よね。
でもなーんかながーい夢を見てる気分になるな。
て?8時だと!?
莉亞「ち、遅刻だーー!?」
そうだよ!うっかり忘れてたよ。
夏休み気分だった私だが。
今日は夏期補習がある日じゃないか!私としたことがうっかりしてたわ~。
莉亞「ここから30分だが補習時間はまだ間に合う。急げー」
と、わちゃわちゃして着替えや用意された冷めた朝食を食べて私は急いで自転車に乗り込み野花市立高校へ向かった。
ーー「野花市立高校・2年B組クラス内 8時32分」ーー
夏期補習を受ける生徒たちはそれなりにいる。
自主的なので教室でクーラーはついているがそれでも参加をしない生徒たちのために在宅オンライン夏期補習も行っている。そして登校する生徒たちは夏期補習はついでである部活のために登校する。
莉亞「間に合った!!」と勢いよく教室の引き戸を開ける彼女も1人である。
虫男「間に合ってないぞ?莉亞すでに補習は始まってるぞ?」
この夏期補習を取りまとめる教師梅田虫男も出勤している。
ちなみに莉亞はC組だが参加する生徒たちが少ないためB組クラスに組み込んでいる。
莉亞「ええーー!?たかが10分過ぎてるだけじゃん。まけて♡」
虫男はそれを見てため息吐く。
虫男「だめだ。……とりあえず席に座れ。出席簿に遅刻と書いておくからな」
莉亞「ガーン!」
とまぁ、夏期補習に遅刻あってもよほどない限り成績には影響しないが完全皆勤賞を狙っていた莉亞はショックは隠しきれなかった。そこで落ち込んだ気分で莉亞は席についた。
そしてしばらくして今日午前の夏期補習終えた後、生徒たちは帰宅か部活に向かった。
ーー「野花怪異談同好会・部室内」ーー
ここは野花怪異談を語る部室内である。
参加人数は8名ほどいて、この暑さから怖い怪異談で涼むために集まってきた。
部長八木楓さんもその1人であり、いつも慣れたように怪異談を語るメンバーを仕切る。
そして、ちょうど夢見亜華葉さんが語る怪異談が終わった。
楓「ありがとう。次は誰かしら?」
莉亞「はい。私」
楓「どうぞ」
次は私が語る怪異談である。
これは先月SNS上で見つけた怪異談である。
莉亞「怪異談カブトムシどうぞご静聴ください」
私が語る怪異談は恐怖を誘い込む不穏な不思議な怪異談。
そう、私が語ると読ませるのである。
ーーーーー
私は春野明美。21歳。
私がいつもバイト先に向かう街角の住宅道路にいつも立ちずっと動かない派手なカブトを身につけた青白いおじさんがいたのだ。
その青白いおじさんは多分幽霊なのだがずっとそこで立ちっぱなしであり、私が物心ついた時から立っていた。
一体なんの理由でそこにいるのかわからなかった。
そこで私はいつものように無視してバイト先に向かった。
ーー「焼き鳥角田屋」ーー
「いらっしゃいませ」
昼間でも客の出入りはそれなりにいる。
いつもバイト時間は戦争状態だから、私も必死になって応対する。
「春野さん。ゴミついてるわよ?」
「あ、ごめんなさい」
と、バイト先のバイトリーダーである理山先輩に背中についてるゴミをコロコロで取ってくれた。
「あなたも気をつけなさいよ?店の評判にかかることだから」
「すみません。以後気をつけます」
先輩に忠告を受けて私は次からは念入りに身だしなみするのだった。
「2」
バイトがちょうど定時になると、私は帰宅する頃には夕方になっていた。薄暗い時間帯にでもその住宅道路の電柱にいる青白いカブトのおじさんが立っていた。
しかし、その青白いカブトおじさんは私は見ると目を見開き私に向かってくるのだ。
「え?え!?ちょ!?」
私は怖くなって逃れようとしたがなんならかの金縛りになり、身動きが取れなかった。
そして、カブトおじさんは私の頭についてるモノをとった。
「やはり。ついていたか」
それは私についていたのは青白いゴミひょうたん虫だった。
そのおじさんは満足したのかゴミひょうたん虫を掲げてスゥーと煙のように消えた。
「……」
やはり先輩の言ったとおりだった。
ゴミがついていた。
「3」
莉亞「という怪異談なの」
全員「はぁ?」
莉亞「よ、よかったよね?」
全員「はぁ。」
莉亞「……」
えるみ「嘘泣きして無駄よ」
と、私の親友古宮永えるみ含む部員一同は飽きられ顔になっていた。
亜華葉「あなたの怪異談は変わってるわね」
楓「あなたも同類」
亜華葉「ええー!?ショック」
莉亞「何気に傷ついた」
と、まぁ、何気ない普段通り過ごしている私たち。
でも、このメンバーも長い時を過ごしてるのは気のせいかなと私だけじゃなかったのだ。
でも、どうすることもなく違和感ない日常生活送る私だった。
カブトムシ 完
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