御伽園光耀

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御伽園光耀

 その時、日本PMCの社員達は、深夜の滑走路に集まっていた。  颯爽と、御伽園耀弘は歩いてやってきた。それで、鋭い声でこうも言った。 「お前達、機体のチェックはどうした?誰が警護に当たってる?」  全身から、只者ではないオーラを漲らせていた。 「あああ、このタイミングでスティンガー祭り始まっちゃって、それどころじゃねえでーす。ドガーン!よっしゃー!敵陣壊滅!」  社員の1人、野々原匠(ののはらたくみ)はそう言った。  実質組織のナンバー2で、荒事専門の右腕と言ってよかった。御伽園と、同年同門の男だった。  野々原は、要するに、馬鹿の類いだった。 「やかましいぞ!何がスティンガー祭りだ!機体に何かしかけられたら終わりだぞ!」 「社長、ボーナス全額ぶっ込んだのに、トルーニャン出ないんですけど。何このガチャ?」  御伽園よりも2つ年上の、上杉金三(うえすぎきんぞう)が言った。ひょろいサラリーマン風の見た目だが、恐ろしく鋭敏な索敵能力と、中距離後方支援に長け、御伽園小隊にはなくてはならない人物だった。  ただ、こいつの趣味はHENTAIアニメだった。 「マジデシネシ」 「仕事中に!吞気に!ゲームかお前等は!我が社のバックアップ部門には、戦闘行為が出来ない者もいるというのに!俺の護衛より!他に!することがあるだろうが!」 「マチ子にヘド子もいるでしょうよー。日本だったら、それでよくねえですかー?」 「トルーニャン出ないなら、辞めていいですか?この会社。ボーナス全額ぶっ込んで回したのに、宇垣纏女(うがきまとめ)と黒島亀子しか出ない件について。我が邦には、スプルーアンジュは必要ないし」 「俺やってねえけどよー?ぱちすと。スプルーアンジュはウルトラレアじゃねえのー?」 「野々原は、馬鹿だから知らんのだろうが、僕が求める戦列に、スプルーアンジュの居場所はないんだ。何しろ、最初のリセマラで、幻のメスキャラ、藤堂晶を手に入れてしまってから、完全な連合艦隊の構築は急務なんだ。あの!佐藤先生の追悼コラで、藤堂晶を引いた時、我がぱちふぃっく・すとーみゅは!光り輝く萌えの殿堂にだな?!」  眼鏡で目が隠れたオタクは、こうも言った。 「だからこそ!我が邦の栗田健美(くりたたけみ)は反転せん絶対に!」 「マジデシネシ」 「クソやかましいぞお前等!何がぱちふぃっきゅ・すとーみゅだ!うちの会社で!そんな馬鹿な真似をしおってあいつは!我が社の真っ当な社員は!トルーニャンなど知らん!」  トルーニャン、スプルーアンジュ、宇垣纏女、黒島亀子に藤堂晶。  要するに、ぱちふぃっきゅ・すとーみゅは、TS系シミュレーションゲームだった。  米艦隊側は、ロリニャンキャラにディフォルメされていた。 「儲かると踏んで、進めたの社長じゃねえっすかー。あんなダーツ小僧外注で呼ぶなんてー」 「我等が仰ぐ、デウス・イクス・明菜様をディスる社長に、反旗を翻さん。直ちに主砲反転、ゼロ距離いて砲撃!ヨーソロ」 「マジデシネシ」 「ところで!お前は何だあああああああああ?!誰だ?!ムビジに妙な日本語を教えた奴は?!古傷のいかついリベリアの元少年兵が!見ろ!どっかのギャルか何かか?!」 「シラネーシ。イえって、キララザカが」 「あいつかああああああああああああああああ!あの馬鹿が!もしもし!ってお前か?!ムビジに変なギャル語を教えた馬鹿は?!何がだ?!ん?少し待て清四郎。放っとけ!東雲桜と一緒にするな!だがもし、それが本当にあれば。というより!そこを動くなよ!小隊率いて俺が行くまで!」  腹立たしそうに、携帯を切って御伽園は言った。 「現在、マフィアの代打ちで、ロシアンルーレットダーツをしていた馬鹿が言うには、嵐導丸とかいう、妙な刀が出回っているようだ。その取引価格は、100億の価値があるらしい。もし本当なら、それは相当な霊力のある器物であるらしい」 「それ、バッタモンって線はないすっかー?東雲桜みたいな」 「それは!俺の愛刀が、バッタモンだということか?!俺は、先のソードマスターズで、この刀を前任者から譲り受けた。優勝者は、代々ソードマスターズを取り仕切るいわれがある。本来、住人が、謎の失踪を遂げた高千穂の廃村でやる予定ではあったが、ニューヨークでやるしかあるまい。各員!ニューヨークでのソードマスターズの開催に向けて、不殺規定の再確認に努めよ!」 「御伽園小隊ー。ふぁい」 「おー」 「マジデシネシ」 「社長―、ヘド子いねえし、イマイチ締まんねえすけど、いいっすかー?」  いい訳があるか。何とも、場が締まらなかった。  だが、いいのか?のっけから、既に祭りはグダグダになりつつあるし。  こんなザマで、かの剣宴が、開けるのだろうか?それに嵐導丸とは、一体?  御伽園の迷いを乗せて、プライベートジェットは、アメリカに向けて飛び去って行った。
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