内蔵助錦を飾る

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内蔵助錦を飾る

 宿屋に、腰を抜かしたユーラを引き込んだヘイデンは、童貞のくせして、ユーラをベッドに寝かせて、覆い被さっていた。  俺は童貞だけど、ユーラだって、まあおぼこっぽかったし。 「色々ありはしたが、儂の(さい)になってくれ♡()早百合(さゆり)♡」 「あっふん♡内様(くらさま)♡」  あれ?人間と、エルフの間に、子供作れるのかな?  そんなことを考えながら、ユーラの奥にびゅーっと射精した。  童貞人間と、おぼこエルフの恋は、けったいに燃え上がり、そして、2人が乗った栗毛の馬は、遂に、ドキドキフォーン村へと凱旋を果たすことになった。  おおーい!遠くに見えたフォーン達に、ヘイデンは手を振っていた。 「内蔵助の帰参じゃ!皆の衆は息災であるか?!」  まず飛び上がって反応したのは、件のフォーン、サキーチだった。 「じゃじゃじゃ?!お奉行様?!まんずおけえりなさいまし!ゆっくりお休みを!サクラ!レンゲ!お奉行様のお帰りだベ!」 「んだのー?!ああお奉行様!んだ?オド?お奉行様が乳触ってる女の人は?どなただ?」 「さっきまで触っておったが!今は触っておらんぞ?!まあよい!紹介しよう!我が妻の早百合じゃ!」 「んもう♡馬鹿♡」  ユーラはユーラで、メロメロにされていた。  村のパブの2階に腰を据えたヘイデンは、そのまま隣の鍛冶屋に向かった。 「グノームさん。どうも。帰ってきました」  グノームはヘイデンの帰還を、それは喜んでいた。 「よう帰ってきたのう!さっそく、これを捧げよう!」  運ばれてきたのは、大きな桐の箱だった。 「フェアリーの、ブルーメタルで鍛え直した逸品じゃ!本来は水平二連じゃったが、上下二連になっとるのは、グノームの遊び心とおぼし召せ。専用弾を使用し、まあそれは、ピクシーに聞くがよい」  たちまち、肩に止まったピクシー達の姿があった。 「シモーネは今、外しているんだけど、すぐ帰ってくるわ」 「この銃は、もう私達しか撃てないわよ?ピクシーを大事にしてね?」 「ああそう?でー、シモーネ、いる?」 「御身のお側に!ゼエゼエ」  超ダッシュで帰ってきたらしい、シモーネが喘いでいた。 「まあ勝手に、周囲の地形を見てきたわよ?」  シモーネはシモーネで、流石だ。  そして、恐らくは、グノームも。 「この銃の銘じゃが、すまん。考えておらなんだ」 「ならば、この銃を「外さず」、エース・インザホールと名付けよう。最後の切り札と言う意味で、まあ現状を打開せんとするなら、これ以上はあるまいと存ずる。ビショップと、ルークウッドは?」 「最早隠す気もない規模で、軍備を増強しておる。主に鉄器ばかりじゃがな?」 「そうか。間もなく、始まるな?」 「それでじゃな?ドワーフを大量に雇ってな?大急ぎで作らせたものがあるんじゃが」  ドワーフの心は、手に取るように読めた。 「して、数は?」 「約600丁じゃ」  大義!ヘイデンの大声が、鍛冶屋を満たしていた。  その声に、ピクシー達は奮い立っていた。 「ならば、村の民全てを、店の前に集めてくれ。天王山じゃ。ご老公」 「お奉行様の仰せのままに」  そう言って、ドワーフは頭を垂れた。  既に、ピクシーも、ドワーフも、ヘイデンの意に応えてくれていたのだ。  グノームなどは、ヘイデンの専用器まで揃えてくれた。  もう、時間がない。  いずれ、ルークウッドとビショップの内乱は、外れのフォーン村とて戦火に包み込む。  少なくとも、彼らに、自分の身を守る方法を伝えるしかない。  失禁しそうなほどヘイデンはビビっていたが、内蔵助は、これから始まる戦に、奮い立っていた。
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