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ハードすぎる現実
上杉、ムビジとヘイデンによる、一部偏執的な訓練の末、
「うん。僕の部隊も出来上がったし、そろそろいいんじゃないか?」
上杉に言われて、ヘイデンは、シモーネが持ってきた、地図を見つめていた。
「恐らく、いざ動き出した時は、あ茶殿の動きが全てを決しよう。ただね?今の時代に、この手が、通用すると思うのかな?」
「ダークエルフの、優越感情が鍵だと思うけどね?」
そう。問題は、ダークエルフなどではない。
奴等は、簡単に引っかかる。既に、チェックはかかっているのだ。
問題は――。
「――子供だ。子供が撃った弾も、大人が撃った弾も同じ。ただ、子供に撃てるのか?それだけじゃ。儂が、考えておったのは」
「――ムビジの、過去を、知っているかい?」
初めて聞かされた。ムビジが、どうして、日本にいるのかを。
ムビジ殿が――。
「少年兵と、一言で言ってしまうのもどうかと思うよ?まあ、彼を見出した、うちの社長も凄いと思うよ?」
「確かに、フォーンの娘達も子供達も、ムビジ殿を信奉しておる。だが、この問題を越えた時、我が越中軍は、真の強者の集団となる」
「マジデシネシ。オレ、ココニツく。ソウスレバ、コドモタチ――ガンバる」
いきなり現れた、ムビジ・アンカラの姿があった。
「だが、もし子供達が怯懦すれば、主は大軍に、1人で立ち向かうことになる」
「オレ――コドモ、シンジる」
「――ならば、儂も、主を信じるとしようぞ。弥助」
マジデシネシ。そう言って、ムビジは去っていった。
「弥助を信じようぞ。あ茶殿」
「そう――だね?じゃあ、初陣の勝利を祝うのは」
ああ。内蔵助は、戻しそうなほど、緊張しつつも、力強く答えた。
「ルークウッドの砦より1里の距離――リヨン平原じゃ」
これから、越中軍の無双が始まる。
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