ルークウッド撃破

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ルークウッド撃破

 かくして、越中軍の進撃が始まった。  先備は、上杉麾下のフォーンコマンド部隊だった。 「さあ始まった。鼓笛隊。景気よく行こうよ」  フォーンの角笛が、払暁の森の中で、高らかに響き渡った。 「やっぱりいいなあ――ぱつすとのOPは」  うっとりした、上杉が言った。  砦周辺に響き合う角笛の音に、ルークウッドは目を覚ました。  隣に寝ていた、ダークエルフを蹴飛ばす勢いで。 「何だ?!この笛の音は?!誰か?!誰かある!」  扉を叩いたのは、直属の、ダルメイユ将軍だった。 「ルークウッド卿。現在、砦の周辺を、少数の賊が徘徊しております」 「愚か者共め!大方、物盗りであろう!将軍!すぐに騎兵を引き連れ!奴等を殲滅せよ!どうせ!ビショップの奴の手の者であろう!そうだ!賊を皆殺しにしたのち!そのままキングスフォートまで攻め込め!あんなシティーエルフなど!鎧袖一触にしてやる!」  がはははは!と1人ルークウッドは、勝利を確信していた。  まあね?僕等を、仕事終わりの夜盗か何かだと思っているなあ。  戦の基本に、夜討ち朝駆けという概念があって、ヘイデンは、普通に「朝行こうよ」って言ったのだが。 「おっかねえだよ!凄え数の馬の蹄の音が、オラ達に迫ってるだよ!」  コマンド部隊の1人、キハーチが言った。 「君達フォーンは、本当に素晴らしい種族だ。その聴力に脚力。角笛は、遠くの味方の動きすら知らせてくれる。騎兵が来たね?じゃあ、ここからは、僕の領分だ」  上杉から、剣呑な空気が、発せられていた。  御迦園小隊唯一のアーチャー。鋭敏すぎる索敵能力と、狂おしいまでの好戦性があった。 「じゃあ、キハーチさん。僕を背負って移動だ。森林戦で、騎兵がどうなるのか、教えてあげよう」  眼鏡をクイッと上げて、上杉が言い放った。  ああ。全滅。だね?ヘイデンは、馬上でそう呟いていた。 「森は、彼等フォーンの領分だ。1度走り出したら止まらない騎兵を、ああも料理するのが上杉――あ茶殿だ。幾重ものしかけ、パンジステークに樹を利用した罠。動きを止めた、騎兵に逃げ道はない」  ヘイデンの指摘通り、森の至るところに、騎兵の死骸が積み上がっていた。 「森林を防御に使う勢力には、火を使うのがまあ普通だ。でも、それをした時、ルークウッドは、必ず俺達を悪逆非道の人でなし集団だと弾劾するだろう。明らかに、森林戦では騎兵の運用は誤りで、歩兵連隊を使うのが正解だとは思うよ?まあ、させないけどね?」  死体に近付き、ヘイデンは、それを貼り付けた。 「物見は敗れた。ルークウッドは、どう出るかな?」  同じ馬に乗っていたユーラ・カストールは背後から、ギュッとお腹を抱かれて、 「いやん♡」  可愛く、恥じらっていた。  何?!先遣隊が、全滅だと?! 「何故だ?!敵は、夜盗ではないのか?!」 「はいルークウッド卿。そうではありません」  ダルメイユ将軍が、そう応えた。 「敵は、組織された部隊と思われます。こちらを。絵ではございませんが、写真――と思し召せ」  渡された写真を見て、ルークウッドは、ブルブルと震え出した。  半裸のヘイデンが、ユーラの腰を抱いた写真だった。  写真には、こう書かれていた。 「俺達結婚しました」 「あの裏切り者共があああああああああああああああ!今すぐ全勢力をもって、あの小僧をくびり殺せ!ユーラは、兵達の慰み者だ!将軍!お前も、好きに切り刻んでよい!敵は皆殺しだあああああああああ!森に隠れているのなら!構わん!森ごと焼き払え!どうせ樹はまた生えてくる!」  って、言っていましたわ。御奉行様。  やはり、草をやらせたら、ピクシーの右に出る者はいないな。 「ありがとうシモーネ。俺達を、森ごと焼くとはね?」 「そんな男を、天然自然の代弁者と、信じていたのか。かつての我々は」  環境左派などこんなものだ。 「これで、元々ルークウッドに靡いていた、環境派の妖精は、離れることになる」 「ならば、主力が砦を離れた段階で、単身行ってルークウッドの腸をひやああああん♡」  耳をペロペロされて、ユーラは崩れ落ちた。 「天王山はまだまだじゃ。次なる展開も見える。逃げたあ茶殿を追う主力。次の舞台は、ほれ、あの、リヨン平原じゃ」  内蔵助はそう言った。
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