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石子は、石から産まれました。
石なので、お母さんでもありませんし、お父さんもいませんでした。
みんなが石子のことを気味悪がって、友達の一人もできませんでした。
石子は、悲しくてなりませんでしたが、石ですから涙も流せません。
石子は、もう死ぬまでじっとしていようと思いました。
ただ時が過ぎて、死んでしまう日までじっと待つのです。
しかし、石子は石でしたから、死ぬのかどうだか分かりませんでした。
だから、怖くなって、高い崖の上から飛び降りることにしました。
そうすれば、きっと粉々になって死んでしまうと思ったのです。
石子は、高い高い崖に登り、飛び降りました。
石子は、地面に落ちて粉々になりました。
その小さくなった石の粒たちは、やがて空に上っていきました。
そして、名もなき小さな星ぼしになったのです。
だから
悲しくて死んでしまいたくなったら
その名もなき星ぼしを見上げてください
石子のかけらたちの星ぼしが
きっと
ひとりっきりのあなたを
優しく見守っていてくれますよ
end
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