2 兄と弟

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 2ー11 前途多難  僕は、高位貴族の子息たちの特別クラスに編入することになった。  そこは、僕にとっては完全なアウェイだった。  なぜならそこには、本物の王子様がいたから。  「私は、アロイス・ロドス・エウロキアだ」  金色の髪に青い目をしたその王子は、僕に微笑みかけると告げた。  「よろしく」  いや。  目がぜんぜん笑ってないんですけど?  僕は、クラスの1番隅っこの窓際の席に案内された。  クラスの誰もが僕には近づこうとはしなかった。  僕には、それが逆にありがたかった。  休み時間に僕の前に歩み寄ってくる人影があった。  それは、超ミニスカートの美少女で。  あれ?  この学校って男子校じゃなかったっけ?  僕は、ふとそう思ったが、頭を振った。  きっと、共学だったんだ。  「わたし、ロドニア・セレス・ランディスです。よろしくお願いします、ルルシア様」  うん?  思ったよりもずっとずっと低い声に僕の脳がバグる。  いや。  そんなわけがないし。  きっと、ハスキーボイスの女の子なのに違いない。  「よろしくお願いします、ルルシア・ガーランドです」  「ルルシア、学院の案内をさせてくださいませ」  ロドニアが僕の腕に手を絡めてくる。  肘になんか当たっている!  僕は、ドキドキして いた。  ロドニアは、学院内を案内してくれた。  僕たちをみんなちらちらとうかがっているような気がしたが、気のせいだろう。  それか、ロドニアが美少女だからか?  僕は、美少女にもてはやされて気分がすこぶるよかった。  が、学院を一回りした後、僕たちは、同じ寮へと帰った。  僕は、最上階だったが、ロドニアは、2階の2人部屋のようだった。  ロドニアと別れた後、僕は、はっと気づいた。  騙された?  ロドニアは、男だ!  この学校は、やはりただの男子校だ!  僕は、みんなの視線を思い出した。  あれは、騙されてるとも知らずににやついてた僕を笑ってたんだ。  僕は、もう、すっかり学校がイヤになっていた。  最上階の部屋に戻るとクリナドが笑顔で迎えてくれた。  「おかえりなさいませ、ルルシア様」  「ただいま」  僕は、まっすぐに寝室へと向かうとベッドに倒れ込んだ。  はぁっと吐息をつくと僕は、目を閉じた。  前途多難、だな。  
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