3 成り変わりの婚約者

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 3ー4 女装?  そして。  卒業パーティー当日。  なぜか、僕は、王宮に呼び出されていた。  僕を呼び出したのは、レイラス王女だった。  レイラス王女は、女の人としては背が高くて、そして、僕と同じ黒髪に黒い瞳の美少女だった。  「初めまして、ルルシアお兄様」  レイラス王女は、僕に礼をとった。  彼女は、僕のことをまじまじと見つめて言った。  「確かに、これなら大丈夫かもしれないわね」  なんのことかわからない僕に、レイラス王女は、にっこりと笑みを浮かべる。  「大丈夫。悪いようにはしないから」  それから、僕にとっての悪夢が始まった。  レイラス王女は、人払いをすると僕に服を脱ぐようにと命じた。  困惑している僕の服を半ば無理矢理脱がせると、王女は、そのメイドと一緒になって僕に深紅のドレスを着せようとした。  「ちょ、ちょっと待って!」  僕が抵抗するとレイラス王女が怖い顔をして僕を見た。  「無駄な抵抗は、お互いのためにはならないわよ、ルルシアお兄様」  無駄な抵抗って!  だが、僕の抵抗も虚しく僕は、レイシア王女たちの手で女装させられてしまった。  王女とメイドたちは、僕に化粧を施した。  そして、僕の姿を見て満足げに微笑んだ。  「そっくりだわ!ルルシアお兄様!」  レイラス王女の言葉に僕は、信じられない思いで鏡に写った自分の姿を見た。  そこには、レイラス王女に瓜二つの少女の姿があった。  いや!  僕なんだけどね!  「いい?ルルシアお兄様」  レイラス王女は、自分の指先で僕に紅をさしながら話した。  「あなたは、今夜、私のかわりに王立学院の卒業パーティーに参加してアーキライト様と踊るのよ」  はい?  僕は、信じられない気持ちでいっぱいだった。  「あなたは、どうするんです?レイラス様」  「当然、私は、あなたとして卒業パーティーに参加します」  レイラス王女は、きっぱりと答えた。  いやいやいや!  何が当然なんですか?  レイラス王女は、僕の目の前で僕が脱いだ服を身に付けて髪をざくっとナイフで切り落とした。  マジですか?  「これで、私たちは、成り代わったわけね」  にこにこしているレイラス王女に僕は、唖然としていた。  どうなっちゃうの?  というか、僕、こんなことがばれたら、国外追放されるんじゃ!?
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