クラスの人気者

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少し離れた場所で景品の落ちる音がした。 長谷川くんは口を笑みの形に変え、その場にしゃがみこんだ。 取り出したのは紫色の箱。キャラクターのフィギュアが入った箱だろう。 スタスタとその場を離れていく彼のあとを、距離を置きつつ追いかける。 彼が遊んでいたゲーム機の前で一度立ち止まり、何の景品を取っていたのかを見た。 「これって……今やってるアニメのフィギュアじゃん」 彼が誰かとアニメの話をしているのは聞いたことがない。 私は完全にアニオタであるけれども、彼にはそんなイメージは一切なかった。 アニメのストラップを付けているようなこともなかったはずだ。 誰かへの……例えば兄弟へのプレゼント……とか。 なんにしても、2回で景品を落としたあたり彼のゲームの腕前はなかなか。 私なんて千円……いや、五千円を溶かしても取れる自信がない。 そんなことを考えている間に、長谷川くんの姿が消えていた。 私は慌てて近くのゲーム機に彼の姿がないか探し回る。 「あ、いた」 隣の列にいた長谷川くんは、すでにボタンを操作していた。 狙っているのは日曜日の朝にやっている女の子のバトルアニメに出てくる妖精のぬいぐるみ。 あれは……私も欲しい! ――ガタンッ ここで私の悪い性格が出た。
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