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「どうやって取ったの!?」
気付けば私は長谷川くんに話しかけていた。
私に気が付いた長谷川くんの顔から徐々に血の気が引いていく。
「や、山下さん……」
「ねぇ、それどうやってとったの?」
「誰にも言わないで!」
私の質問に答えるより先に、彼は慌てた様子でそう言った。
縋るようなその声に、私は「え……?」と首を傾げた。
そういえば、彼は辺りの様子を窺うようにしてからゲーセンに入ったんだった。それを思い出した私は、彼に話しかけたことを後悔した。
「ごめん。……見つかりたくなかったよね。大丈夫、誰にも言わない。約束する」
真剣な顔で言えば、彼は幾分か落ち着いた様子で息を吐き出した。
「……山下さん、なんでこんなところにいるの?」
「私もここに用があったから。そしたら長谷川くんが入っていくのが見えて、思わずついてきちゃった……ごめんなさい」
「いや、それはいいけど……ってか、そんなところからバレてたんだ……」
長谷川くんはバツの悪そうな顔をした。
「それ、長谷川くんが集めてるの? それとも誰かへのお土産とか?」
「……黙秘で」
「そう。ところでそれどうやってとったの? 私それ前に挑戦したんだけど、三千円消えたんだよね……。結局取れなかったし」
いまだ私の質問には答えてくれる気がないらしく、長谷川くんは私の顔をマジマジと見つめてきた。
自分に穴が開きそうだと思ったのは初めてだ。
さすがに恥ずかしくなって彼から視線を逸らすと、頭上から長谷川くんの声が降ってきた。
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