きみを守るために、演じ切ってみせよう。 前編

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(……両親を止められなかった俺たちだ。当然の報い、だな……)  税金を上げて平民を苦しめ、逆らうものは見せしめとして死なない程度に痛めつけたあとに、家に帰していた。  だが、遅効性の毒を飲ませていたから、家に戻ったものはあっという間に命を落とす。  それをまるで、ゲームのように楽しんでいた両親たち。  止めようとすれば殺されかけた。  だからこそ、助けられたものは僅かだった。シャーロットはこのことを知らない。教えていないのだから。 ((さと)い彼女のことだから、バレているかもしれんがな……)  リンジーはゆっくりと息を吐いて、それから目を閉じた。  どうせ殺される運命なのだ。見せしめのように公開処刑をされ、新たに王が生まれるのだろう。  レジスタントのリーダーになら、あとのことを任せられる。  レジスタントのリーダーは、騎士だった。  父親たちの悪行を止めようとしたが、結局止められずに毒を飲まされ、拷問の末に左目を失った。あと一日遅ければ、その命はなかっただろう。  助け出すのは苦労した。リンジーの護衛である騎士も、彼を助けることに協力してくれた。仲の良い同期だったそうだ。そんな護衛も、つい先日に休暇という名の国外追放を言い渡した。うまくいけば、シャーロットと会えるかもしれない。 (……ローズマリーにも感謝しなくては)  アカデミーの秀才であった彼女は、このままでは国が滅びるとわざわざリンジーに伝えにきた。  それに対し、リンジーは沈黙で肯定したことを思い出し、ふっと微笑みを浮かべる。
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