きみを守るために、演じ切ってみせよう。 後編

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 申し訳なさそうに眉を下げるリンジーに、シャーロットはゆっくりと首を左右に振る。 「魔女が教えてくれました。きっとあなたが生まれ変わるだろう、と。そして……わたくしのことに気付いてくれるだろう、と……」 「魔女が?」 「はい。彼女はわたくしとあなたが再会すれば、きっと運命が巡るだろう、と……」  運命が巡る? とリンジー口にする。シャーロットはそのときのことを思い出して、目を伏せた。  彼が首を傾げると、彼女は視線をリンジーに向ける。 「――会いたかった。ずっと、待っていたの……」 「シャーロット……」  目に涙を浮かべて微笑むシャーロットに、リンジーは椅子から立ち上がって彼女に近付き、その手を取った。 「ずっとひとりきりにしてすまない。これからは、ともに生きよう、シャーロット」 「……それは、プロポーズですか?」 「花束も指輪もないプロポーズでは、失礼だったかな?」 「いいえ、いいえ。リンジー殿下。あなたとともにいられることが、わたくしの一番の喜びですわ」  そっとリンジーの手に自分の手を重ねて、シャーロットは美しく微笑む。  それから、リンジーとシャーロットはふたりで細々と暮らしていく。  生まれ変わったリンジーは、孤児として首都の孤児院で暮らしていたこと、そこでともに住んでいた子どもたちや世話をしていてくれた人たちのこと、十六歳の誕生日に記憶を取り戻してからシャーロットを探すために旅に出たことなどを……時間をかけて彼女に話した。
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