きみを守るために、演じ切ってみせよう。 後編

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 シャーロットも、三百年の間にあったことを、ゆっくりとリンジーに話す。 「――いろんなことがありましたね」 「本当に。シャーロットを見つけ出せてよかった」 「……首都で、わたくしのことは、どのように伝えられていましたか?」  自分で(たず)ねながらも、人からの評価が怖いのか、少し肩が震えていた。  そんな彼女を安心させるように、リンジーは微笑みを浮かべる。 「心優しき魔女がいる、と。きみは、よく人を助けていたのだろう?」 「……助けた、というよりも……わたくしはただ、(たず)ねられたことを教えただけで……」  薬草の(せん)じ方、どの薬草がどの症状に効くのか。自身の知識を、親や子を助けたいという切なる願いを持つ人々に与えていた。  各地を転々としていたが、どこからか彼女の噂を聞いた人たちが、助けを求めるようになり、結局首都の近くの森に住むことにしたことを思い出してハッと顔を上げる。 (――わたくしがこの森の中に住むようになったのは、十六年前。もしかしたら、彼が生まれ変わったことを感じ取っていたのかもしれませんね……)  目の前にいるリンジーに、シャーロットは顔を赤らめた。  彼女の師匠である魔女は、シャーロットの寿命は愛するものと同じであること。愛するものが命を落とすとき、彼女が望めばともに()けるだろうと言っていた。本当かどうかはわからない。 「……もしも、もしもこの先……リンジー殿下が命の危機に陥ったとき、今度こそは、わたくしも一緒につれて()ってくださいませね」 「シャーロット、それは……」 「わたくしはもう、あなたを失う虚無感を味わいたくないのです」 「……そうか、そうだね……。うん、今度はともに……()こう」
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