きみを守るために、演じ切ってみせよう。 後編

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きみを守るために、演じ切ってみせよう。 後編

『ローズマリー、きみのことを雇いたい』 『雇う、ですか? 殿下が、男爵令嬢の私を?』 『有能な人材に、身分は関係ないだろう。協力してくれたら、きみら家族……使用人を含む男爵家の人たちを国外へ逃がし、生活の基盤を整えるまでの金貨を渡そう』 『殿下は、どうなさるおつもりですか?』 『……王族としての責務を果たすさ』  そのときの彼女の表情は、なにかを耐えるようだった。  計画は順調に進んでいった。ローズマリーは本当によくがんばってくれて、感謝している。  レジスタントのリーダーは着実に仲間を増やしていき、国民たちの国への不満は増していった。  極めつけは心優しき公爵令嬢を公開婚約破棄。さらに問答無用で国から追い出した。そのため、国民のリンジーへの評価は下がり、クーデターの日を早めたようだ。 (シャーロット、どうかきみだけは無事に生きていてほしい)  そう願って、目を伏せる。  そして、それからどのくらいの時間が経ったのかわからない。  日に日に減っていく牢屋に捕らえられた人たち。  一日に一回は確実に公開処刑を(おこな)っているようだ。それだけ、国民たちは王族や貴族を憎んでいる。  さらに数日が経ち、ついにリンジーの番になった。  公開処刑の場所まで連れていかれ、断頭台に頭を押し付けられる。 (――これだけの人々が、王族の死を望んでいる)
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