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『いやさ、処女のままで娼婦デビューはキツいんじゃないかって思ったんだけどね? あんたが大丈夫なら、お客さんに処女を捧げても構わないんだよ? 処女って事であんたの値段が初回限定で高く付くし』
いきなり突きつけられた究極の選択に、瑠衣は視線を宙に浮かせてキョロキョロさせる事しかできない。
改めて、娼婦という仕事は、男性とセックスする仕事なのだ、と痛感する。
さて、この究極の選択をどうしようか。
まさか、こんな形で処女を失うくらいなら、大学時代に、痛くても無理矢理ヤッておけば良かった、などと思ってしまう自分が痛々しい。
(とにかく、私はここで借金を返さないとならないんだよね……)
瑠衣は心を落ち着かせながら、改めて考える。
大丈夫だろうとは思うが、処女の状態で初めて相手した客が、実は無理矢理犯すようなプレイ好きの男だった、という事もあるかもしれない。
たった一度の経験でトラウマになってしまったら、ここで働いて借金を返済していく事はできないかもしれない。
ならば、女風経営者の人にお願いした方が得策なのではないか。
長い間考え込んでいる瑠衣に、凛華はフォローするように言葉を続けた。
『あ、ちなみにそのイケメン経営者の彼だけど、当然女風経験者だし、無理矢理の行為とか一切しないし、女性の希望を尊重してくれるし、過去にもここに来た女の子たちの純潔を丁寧に頂いてきた男性だから、その辺は問題ナシだと思うよ?』
(女の子の純潔を丁寧に頂く男性……かぁ……)
『でしたら……』
正直、いくら凛華が問題ないと言ってはいるものの、これから初めて会う人に処女を捧げるのは恐怖しかない。
ここまで来たら、客に抱かれるか、女風経営者のイケメンに抱かれるか。
選択肢はもうセックスする事しかないのだ。
瑠衣は睫毛を伏せて言葉を詰まらせるが、やがて腹を括ったように、凛華を見据えた。
『女風オーナーの方に……処女を捧げたいと思います』
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