由麻

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 それからわたしの似顔絵が描かれ、もしかしたら育ての親がニュースを見るかもしれないからと、声を録音される。 「なんでもいいのよ」  置かれたボイスレコーダー、録音ボタンを押す女性警官。  挨拶の言葉にしようか?それともお母さんと呼び掛けようか。迷った末にわたしは・・・ * 『昨夜、小学五年生と思われる女の子が警察に保護されました。近所に住む関屋あんずさんから事情を聞いております。また保護された女の子の似顔絵を警察が公開しました』  わたしの似顔絵が全国ニュースで流れている。くせっけのある黒髪は肩まで伸びていて、眠たそうな奥二重に、小さな小鼻、上唇だけが少し分厚い。ひょろりとした体格に、首の後ろに小さなほくろがあることも描かれていた。 「見つかるといいわね」  施設送りになったわたしに職員が、優しく話しかけてくれる。そして、ボイスレコーダーに録音された声が流されていく。 『お母さん、ただいま』  産みのお母さんが聞いているのだと想像して、その言葉が不意に出た。当たり前の言葉だけど、わたしにとって特別な意味を持つ。
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