六ノ章

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榛名は葵と音羽に挟まれており、2人の悪そうな笑みに困惑し顔が少し引きつってしまった。 「私のこと愛してるなら榛名から力奪うとか十六夜様倒して最強だって惚れ直させてみせてよ!!私のために!私のためお願い聞いてよ!!」 「雪愛のため…?」 ピクッと翼が反応すると同時に十六夜も何かに気づいた。 『ムク、榛名を連れて神代家の屋敷へ行け!翡翠、榛名を頼む!!』 「えっ!わ、分かったですぅ!」 『人間には見せられませんからね…』 榛名は動揺しながらも無理矢理ムクに乗せられて行ってしまった。 「ぐ……やめろ…翼…やめるんだ…」 天狗の当主は体が動けないながら翼を鎮めようとしたが聞かない。 「雪愛のため…雪愛のため…」 「そうよ!私のために頑張ってよ!」 「雪愛のために…雪愛の…ため……ユキメ……ノ…タメ………ユ……キ……メ……ギシャアアアァァ!!」 翼は思考回路がぶっ壊れようになると体がグニョグニョしながら10メートル程の禍々しい天狗の化け物の姿になった。 『理性を完全に失ったか』 「まぁ…あれはなんですわん?」 「アヤカシの本来の姿だよ。神が人の姿に変え、本来の姿を封じたんだがね…理性を捨てるとああなっちまうのさ」 「きゃあああっ!!」 雪愛は天狗の化け物になった翼をみて恐怖で叫ぶ。 「…ユキメ……ノ………タメ……」 理性を失った翼は十六夜を倒そうと向かって行くが雷を落とされ、丸焦げになってしまう。 翼は動きが停止してしまう。 天狗の当主が体を引きずりながら翼の元へ近寄ると、翼は自分の父である当主に顔を向けると腕を上げ自分の父を拳で体が吹き飛ぶ程の勢いで潰してしまった。 「ひっ……ば、化け物おおおっ!!十六夜様た、助けてくださいいぃっ!!!」 雪愛は腰を抜かしながらも必死に十六夜に助けを求めるが十六夜は無言のままで動かない。 翼は愛しの番・雪愛を見つめると雪愛の体を鷲掴みにした。 「ユキメ……オレノ……ツガイ。………ツガイ…ハ……イッショ…………」 雪愛は怯えながらも必死に抵抗しつつ 「そうよ…もう翼様以外目を向けないから!お願いだから戻ってよ!私のお願い聞いて!」 「………ダレニモ………ワタサナイ……………」 「ぎゃあああああああっっ!!!」 大きな口を開け、雪愛を喰らう 地面には雪愛の血だらけのリボンのアクセサリーが残っていた。 『おい、天狗の女』 「止めるために来たのだから役目を果たしましょうぞ」
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