一ノ章

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建物内の人や店に困惑しつつ興味が湧く。 『初めてとか言ったか?島ではどうしていた?』 「島には出ることは許されませんが、月に一度だけ大きな船で物資が運ばれます」 物資や名産品を売るのはアヤカシの力を借りているんだとか。 掟により島を出ることはできないが、生贄を捧げる時は特例だと生贄に向う時に島の住人が言っていた。 『逃げなかったのか?』  「いえ、掟ですから…鈍臭い私はバレてしまいます」 逃げ出したい気持ちはあったが、掟や逃げたのがバレた時に雪愛達からの仕打ちの恐怖心で行動に移せなかった。 『掟か…アヤカシの暴挙を止めるために霊力のある人間を4つの島に閉じ込め、アヤカシは日本を襲わず守らせるためにやったんだったな』 「十六夜様はどのようなお役目であの島に?滞在されておりませんよね?」 『俺たち4体の神獣は地球から島を見えないように結界をはり、島民に守り神として祀らせ、掟を植え付ける。アヤカシの暴挙を止めるのも俺達の役目だ。…普段は天界に住み、察知すればすぐに動くし、たまに気づかれずに監視しに行くらしいだがな』 「十六夜様が住む島が天界ですか?」 『違うな。ただの無人島だ』 「なぜ天界に住んでないらっしゃらないのです?」 『俺はあの島を捨て、天界から捨てられた……それだけだ』 淡々と語る十六夜の目には淋しさが写っていた 何があったのか知りたかったが、なんとなく聞けない雰囲気だった。 それから日用品から衣類など購入した。 『次の階に…』 元気そうな十六夜に慣れない場所と人混みに榛名はヘロヘロに疲れていた。 「き、休憩よろしいですか?」 『よかろう。人間はそろそろ飯の時間か』
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