一ノ章

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レストラン街に着くと昼時のようで賑わっていた。 相変わらず人の多さにビビる榛名だが、見たことない料理に釘付けになってしまった。 店には食品サンプルが展示されており、顔に出さないまでも心は驚きや興奮が冷めない状態だ。 十六夜は食事をしないので興味すらない。 『食べたいもの全部食えばいいだろ』 「む、無理です!」 何がいいかわからないので十六夜に任せると、レストラン街で一番高い店に入った。 人が少なく、静かな店を探し、選んだようだ。 榛名は天ぷらや刺し身や煮物など色んな味を少しずつ楽しめる懐石弁当を頼んだ 『少しは落ち着いたか?』 「はい…十六夜様には良くしていただいて嬉しい限りです」 『そうか』 十六夜はフッと微笑む (あ…) 胸がドキドキした。 「私、こんなに良くしていただいてるのに何もできなくて…」 『お前は生贄だ。何もしなくていい』 「…はい」 「何もできない…何もしてあげられない」生贄だけの存在に悔しくもあり、選んだのは自分だからと自分に言い聞かせる 十六夜は榛名が頼んだ料理より先にきた、日本酒を呑んでいた。 じっと見ている榛名に気がついた。 『酒飲みたいか?』 「私は20歳にならないと飲めません」 十六夜に気になった事を質問してみた。 「お酒は呑まれるんですね?」 『天界でも酒は振る舞われるからな』 「食べ物は食べないのに生贄は食べるんですか?今までの生贄は放置されたって聞いたのですが、なぜですか?」 『生贄は供物扱いになるから食べれるんだ。今までの生贄は興味なかっただけだ』 「じゃあ私は興味あったんですか…」 『ああ……』 その後の話を聞きたかったが、暖かいご飯に感動し食べる事に目がいってしまった。
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