一ノ章

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榛名の顎から手をどけた十六夜 『冗談だ。俺は誰も番にしない。……俺が愛しているのは八重だけだ』 「やえ?」 『俺が婚姻関係を結んだ神子だ。俺は八重以外は永遠に愛すつもりもない。資格があるだけで、たとえ神子になったとしても番にするかは別の話だからな』 「…愛してもいない私にキスや抱きしめたりなさるのですか?」 『お前には説明しておいた方が誤解させずに済むだろうから、言っておく。お前に興味があると言ったな?』 先程の食事に話した話しだ。 『俺の髪と目は黒いだろ?本来の色とは違う。俺は天界の禁忌を犯し捨てられた。髪と目は闇に侵された禁忌の証だ。見えないだろうが体内も闇に侵食されているんだ。だがお前の神通力の能力に闇を消す"癒やしの力”がある』 「私にそんな力が?」 初耳だったし私なんかに?と自己評価が低い榛名は信じられない。 信じられないが自分の傷が治るのを自身が一番知っているのでなんともいえない気分だ。 『お前と体を交じ合えば闇は消えていく。キスも体を交わるほどではないが有効な手段だ』 (だからキスしたり毎晩抱かれろって…) 『それとお前の魂は八重の生まれ変わりだから愛しくて唇を重ねただけだ。八重の魂を俺から永久に手放さないようにお前を生贄として食う。俺の体が元に戻るまで生かしてやるが役目が終われば食う。わかったな?』 「はい、お役目務めさせていただきます」 『もう一度いうが、俺は八重以外は絶対に愛さない。お前は生まれ変わりであって八重ではない。妙な感情を抱くなよ』 「はい…」 十六夜は榛名に激しいキスをする。 (あれれ……心が痛い……私……) この気持ちの正体に気がついた榛名。
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