一ノ章

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榛名(はるな)18歳、霊力の高い者が集めらた東丿島に住む、本家である「神代家」の分家の一つで島ではそこそこ地位のある家柄の長女だ。 本名は「神楽榛名(かぐらはるな)」だが苗字を使う事は許されなかった。 この島に住む住人は強弱の差はあるものの霊力がある。現在の日本では4つの島に住む者たち以外は霊力を持っておらず、血や霊力を絶やさぬように島からは出られないので絆やら団結力が強い。 理由はわからないが長女は霊力が強く産まれるもので、強い子孫を欲しがるアヤカシは長女を娶り、(つがい)になるのが掟だ。 しかし榛名には番になるアヤカシがいない。 なぜなら榛名は霊力がなかった。 霊力は産まれてすぐの強い子もいるが、産まれた時は霊力0でも8歳の誕生日までには霊力が備わる。 榛名も霊力0で産まれ8歳にもなっても変わらなかった。 いままで霊力のない子供がいるなんて…と、そんな榛名を忌み子だと島中で迫害した。 榛名が8歳の誕生日に霊力がないとわかった途端、優しかった家族は豹変し、榛名を牢屋に閉じ込め、食事は犬用の餌皿で箸すら与えらず、榛名は生きるために口や手を使って食べていた。 用があれば牢屋から出されては奴隷のように扱われ、島を歩けば罵声や石を投げらるなどの仕打ちを受け、榛名は傷だらけで服はボロボロ、泣こうが喚こうが誰も気をとめることはしない。 忌み子の榛名には味方が一人もいなかった。 榛名には「神楽雪愛(かぐらゆきめ)」という現在16歳の妹がいた。 雪愛は次女でありながら産まれた時から霊力が強く、数年後に産まれる本家の長女を凌ぐほどで、産まれてすぐに天狗の当主から「我が子の嫁に」と打診があった。 天狗はアヤカシの世界で最上位にあたる地位の高い存在だ。 雪愛はその天狗の次期当主の息子の番になった。 アヤカシにもランクがあるゆえ、島でも番になると家柄よりも相手のアヤカシのランクで上下関係が生まれるので本家の神代家以外を除き、最上位の天狗の次期当主の番である雪愛に誰も逆らうことは許されず、雪愛もまた権力を振りかざしやりたい放題していた。 アヤカシは長女だけと制約があるものの番の花嫁を自分の霊力に近い者を探し相手が18歳以上なら妻として娶りアヤカシの世界に連れて行くのだが、雪愛だけは例外だった。 雪愛の相手の名は「(よく)」 天狗の次期当主で見た目は18歳くらいで黄色の派手な柄の着物を独特の着崩しをしている。 雪愛を溺愛し雪愛にひたすら甘々で我儘も全て受け入れ願いは全部叶えてていた。 数年前から神楽家で雪愛家族と同居している。 雪愛の家族は両親と長兄の4人家族(忌み子の榛名は家族として数えない)、家族も雪愛と翼に逆らうことができず言いなりである。
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