一ノ章

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島が見えなくなるほどの場所に大きな尖ったような柱のような岩があり周りには御札としめ縄がされていた。 岩に榛名をきつく縛りつけた 「歴代の生贄は龍神様がお気に召さなかったのか、縛られたまま放置されたらしいぜ。んで、生贄はいつしかミイラかサメの餌にでもなったんだとよ」 「何にせよ俺らは掟を守ったからお咎めなしだ。1秒でも早く死ねよ〜それが島のため、お前のためなんだからな!」 「悪霊になっても帰ってくるな。お前は生まれちゃいけなかった存在なんだからよぉ」 島の住人は船で帰って行き、榛名は海にひとりきり。 覚悟を決めた榛名は無言で海を眺めていた。 (もうこれで誰からも酷い事されずに済むんだ。生まれ変わったら幸せな家庭で暖かい白米が食べたいな…神様、私の我儘聞いてくれますか?) 目を瞑り、死を待った。 しばらくすると雷鳴と共に豪雨が降った。 榛名は悪寒を感じ、目を開けると大きな漆黒の龍が目の前に現れていた。 (えっ……いつの間に……これが龍神様?) 榛名は最後を悟り再び目を瞑り、深い眠りについた。 豪雨や精神的なストレスなどが重なり体調が悪く気を失ってしまったのだ。 龍神はしばらく無言で榛名を見つめている。 しばらく無言でジーっと見つめていたが、器用に榛名の体を尻尾に巻き付け縄を引きちぎると榛名を口に入れた。 『………!』 龍神は口に榛名を入れたまま、飛んで行った。 小さな無人島に着くと榛名を乱暴に吐き出した。 『ムク!ミク!この女を屋敷に連れていけ』 「了解ですぅ~」 「はいなの〜」 現れたのはピンクと水色のニホンジカの子鹿たちだ。 ムクとミクはバタバタしていた。 龍神の体が光り人の姿に変わる。
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