五ノ章

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✱✱✱✱✱✱✱Side   神楽家   ✱✱✱✱✱✱✱ 十六夜と榛名が現れ、榛名が龍神(青龍)の神子、そして番だと島中に知れ渡ってから数日が経った。 神楽家では雪愛以外は機嫌が良かった。 数日間、両親は呪文かと思うほど繰り返すように同じ事を言っていた。 「榛名は自慢の娘」 「神の子を大事に育てた」 「産まれた時から神の子だと思っていた」など榛名を褒めちぎる言葉ばかり発するようになった。 島民もだが龍神や神子に対して信仰心はなく迷信だと思っていたので、自分の娘が「天狗なんかより上」「神様の番」「霊力より上の神通力がある」「特別な力がある」と喜び、手の平返し。 忌み子だと言い出し、奴隷以下の扱いをし虐げていたことは全て忘れ、なかったことにした。 「雪愛より心優しい」「雪愛より可愛い」など雪愛と比べるようになり、雪愛は居心地の悪さを感じていた。 冬史郎は機嫌がいいが両親のように榛名を褒めず、無言を貫いている 雪愛の番・翼は当主に報告すると言ってから来ていない。 外を歩けば島の住人たちがヒソヒソに笑われ、学校に行けば自分の取り巻きたちからは避けられ、クラスメイトだけではなく学校中から変なものを見る目で嫌がられた。 イライラがとまらず腹いせに下級生を虐めれば他の生徒が団結し雪愛を責め、野生動物を虐めれば美しい筋肉を披露しながら二足歩行で追いかけられ美脚のマッスルキックを連続で食らった。 「なんでよ…榛名榛名って……私が十六夜様の神子や番になるばずだったんだから!榛名に神通力も十六夜様も奪わたの!可哀想な被害者なのに!!」 誰もいない場所で叫びまくる 神楽家に帰り、自室まで歩いていると話し声が聞こえた。
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