五ノ章

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✱✱✱✱✱✱✱Side  アヤカシ   ✱✱✱✱✱✱✱ ━━━アヤカシの世界 アヤカシの世界では天狗と妖狐による(いさか)いの一歩手前まで起きようとしていた。  他のアヤカシはピリピリしているであろう一族たちの喚起に触れないよう静かに生活していた。 「私たちはどうしたらいいのかしら?」 アヤカシの世界に嫁いだ人間の番は困惑している。 「俺達、下位のアヤカシは関わらないようにするしかない」 「ああ、関わったら俺達一族ごと潰されかねない」 「天狗は最近、傍若無人っぷりがなぁ…次期当主が当主の座になんて就いたら……おおっ!怖っ」 七宝は妖狐の当主の息子で、妖狐当主の子息を天狗の傲慢な権力で理不尽な追放をした事で、かなり頭にきて抗議いるが、天狗の当主が黙秘している。 番を探している同じ妖狐一族の者から番である光希の屋敷で過ごしている事は安堵していたが、数日前に東丿島で龍神(青龍)が神子を連れ現れた事、その時に七宝が死相が出るほどの大怪我をしていたと、見ていた一族から報告を貰った。 同時に神子が治療した事と龍神に光希と共に保護されたとも報告があり、龍神および神子への感謝と七宝の安否に安堵したものの天狗への怒りを募らせた。 妖狐はわりと温厚な一族なので、話し合いや相手の言い分を聞いてからでなければと考えているが、そろそろ怒りのボルテージの限界も近い。
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