五ノ章

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光希の番である七宝は料理が得意らしく、釣った魚でお寿司を作ってくれた。 榛名は初めてのお寿司に感動した。 (料理上手な七宝様に私の素人料理を食べていただいたなんて恥ずかしい…!しかも妖狐のアヤカシの次期当主候補だったとは…) 食事には十六夜とムクとミクも参加した。 ムクとミクは十六夜の使いとはいえ、鹿なのでお寿司は食べられないが、ドングリを葉っぱに巻いて鹿用お寿司?を作っては楽しそうに食べていた。 「龍神様とお酒を呑むことになるとは…恐れ多いです…」 『構わん。榛名は酒は飲めない年齢らしいからな…たまには人と呑むのも悪くない』 「そう言っていただけると気持ちが楽になります」 十六夜が酒を呑み干すと榛名は慌てて、十六夜のお猪口に酒を足す。 『榛名が入れてくれた酒は一段と美味いな。すぐ呑み干してしまう』 「ありがとうございます」 十六夜は榛名を溺愛し褒めまくり、甘くてとろけるほどの優しい言葉をかけてくれる。 嬉しいやら恥ずかしいやらの幸せを感じている。 『……』 十六夜は七宝に目を向け、葵からの報告を話すことにした。 『大きな動きはなさそうだが、島にはアヤカシの出入りが全くないようだ』 「嵐の前の静けさでしょうか?」 『わからないな。それとあの雪愛(こむすめ)は相当荒れているようだ。…榛名の神通力や(いざよい)は元々自分のモノだった、榛名に盗まれたとな』 「………」 榛名は何も言えなかった。雪愛の我儘や身勝手さが。 「性悪を極めていますわね」 十六夜から素直に言えと言われたからか、あの日から雪愛や翼に対して恨みがあるようで遠慮なく毒舌気味になった光希。 『小娘自身にはなんの能力もないが…』 「翼様ですか…」 十六夜はコクッと頷く 「翼様の後ろに天狗の当主がいても榛名様から力を奪ったり、自分のモノにすることはできないのでは?雪愛さんが十六夜様の番になりたいと言って、雪愛さんを溺愛している翼様が許すとは思いませんわ」 『神ぐらいしか奪うことも他人に付与することもできないはずだ。天狗の小僧もそこまで頭悪くないだろう…たぶん』 十六夜は内心、榛名が我儘やお願いされたら無茶なことだろうが行動してしまうだろうな、と思ったので自信がなかった。
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