解説

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【源氏物語とライトノベル】  源氏物語は3部構成でできています。 ・第一部 光源氏が数多の恋愛遍歴を繰り広げつつ、王朝人として最高の栄誉を極める前半生 1~33巻 ・第二部 愛情生活の破綻による無常を覚り、やがて出家を志すその後半生と、源氏をとりまく子女の恋愛模様 34~41巻 ・第三部 源氏没後の子孫たちの恋と人生 42~54巻  第一部の、天皇の第2皇子として生まれた『光源氏』の恋愛ハーレム物語が有名ですが、中身はというと。 ・寵愛を受けるそれほど身分が高くない『桐壺』と帝のスパダリ溺愛恋愛。 ・光源氏という、ハイスぺ・イケメン主人公のハーレム物語。 ・3歳で死別した母にそっくりな義理の母『藤壺』への初恋(マザコン?) ・彼ピのいる女性を寝取るNTR 案件多数。 ・光源氏を愛するあまりに、生霊となって光源氏の正妻を殺す『六条御息所』のホラー要素。 ・10歳の女児『紫の上』を引き取り、自分好みの女性に育てるロリコン展開。 ・超絶イケメンがブサイクな女性『末摘花』ともウフフ、 キャキャキャする、世の女性に夢を持たせる胸キュン描写。 ・義理の母に自分の子供を産ませる、近親相姦モノ。 などなど……    どうでしょう? これらのテーマをひとつ切り取っても、現在のライトノベルに通用する、この小説が1000年以上前に書かれたものだって信じられます?    この小説をエブリスタに投稿したら、人気ランキングTOPになるのではないでしょうか?  また特筆すべきは、41巻『雲隠』が全巻白紙であるということ!!  かつては存在したとも、初めから書かれなかったとも、種々の説がありますが、長く寄り添ってきた主人公の最期を、作者・紫式部は書くに忍びなかったのでしょうか?  あるいは、読者一人一人の想像に委ねたのかもしれません。    白紙刊行が狙いだとしたら、相当な勇気と天才的アイデアですね。  『源氏物語』が、今日の恋愛小説全盛の運命を決めた作品であることは間違いないでしょう。 (了)
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