一章

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澪は仕事が終わると軽く買い物をして帰宅。 澪が住んでいるのは築ン十年の風呂なしシャワーのみのボロアパートだ。 澪の給料ならもう少しセキュリティがしっかりしたワンルームくらいは住めるだろうが、給料の半分以上、ボーナスは全額、家族の仕送りをさせられている。 仕送りという名の夏姫のお小遣いだ。 「ただいま」 ペットの写真に手をあわせる。 上京し一人暮らしを始めてからインコを飼いはじめた。ボロアパートながら小動物なら大家許可があれば飼えた。 澪は動物好きなのでインコは澪の寂しい気持ちを癒やし本来の性格だっただろう、明るくて正義感の強い自分になれた。 しかし自分より可愛がらているモノが大嫌いな夏姫が澪の留守に勝手に訪問し嫌がらせによりインコを逃がし…捨ててしまった。 探したのだが見つからなかった。 それからは関わらないように電話を切るなど反抗しているが時間の問題だ。何をしてくるかわからない 「はぁ…立ち向かえる勇気があればなぁ。まだ家族に期待してるのかも…」 澪は今日の身勝手な夏姫とそれを庇う母親を思い出す 「お見合い上手くいって結婚したら家族ができるんだよね…」 冷や飯をお茶漬けにし、食べながらつぶやく。 「あたたかい家族」と「自分を愛してくれる人」それを求めていた。
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